TONTON

| 意識する自然 | 2016.09.28

火曜日に更新しようと考えている「意識する自然」のコーナーでは、動物達を、自然をより知る為の本をご紹介。
僕がこれから読もうとしている本、読みたい本、なかなか手に入れられない本(金銭的に)、勿論読んだ本もご紹介。
ただ単に僕が興味を持った本の整理場所だったりするのかも・・・。

| 写真と絵 |

野生動物カメラマン

■動物を撮るカメラマンと言えば・・・というと、すぐに名前が出るだろう「岩合光昭」さんの写真エッセイです。
以前、ご紹介した世界の動物遺産という大型写真集の発売と合わせて、この新書が発売されました。

僕は少し前までは岩合さんの事を知らなかったんですが、動物の事を調べて、色んな資料を探している内に岩合さんの写真と出会うことになりました。
動物達を描いて、動物らしさを大切にしたいと思っている僕にとって、写真は紛れも無い真実で、一枚に表されている景色全てが動物らしさを内包している・・・ まさに岩合さんの写真はそんな風に感じてしまいました。それと同時に、僕のアートで表現している動物らしさとは何なのか・・・また悩む結果になってしまいました。

動物は、実物が何よりも素晴らしくて、その素晴らしさを表現したいと思い、僕はアートを選択したわけなんですが、岩合さんの写真を見ると、僕のアートが木っ端微塵に砕け散るような・・・そんな感覚に襲われたんです。 写真自体もこうゆう感じの物が撮りたいと、写真家の意思が反映されるものですが、そうであっても野生動物達の生き生きとした姿・・・そしてその瞬間が実際に存在した真実。現地まで足を運んで感じた匂いや音が写真一枚から伝わるような・・・ とにかく、岩合さんの写真は動物らしさを表現したい僕にとっては衝撃的で、自分の作品を見つめなおすきっかけになりました。

■僕の動物・・・。そもそもとんとんアニマルと名づけている時点で、本来の野生動物のらしさとは向かう方向がずれている気がします。 それが悪い事とは思っていませんし、動物らしさを求めてスーパーリアルに表現することも、僕の技量・目指す表現としては違うと思っています。
やっぱりとんとんアニマルズとして動物らしさを追求することが、僕の中のアートであり表現なんだと思っています。

そしてカメラマンの多くは、実際に現地へ足を運び、現地の雰囲気を感じながら動物達を撮っていて、そこにも僕には少し後ろめたい気持ちがあるんです。
動物達を表現しながら、動物達の匂いやしぐさ・・・声なんかを肌で感じずに、何が動物らしさだって・・・
けれど、動物達への敬意を、とんとんアニマルズに吹き込んで、とんとんアニマルズは野生動物でありながら、僕である・・・と言うのが、僕のアートだと今は思っています。
なんだかずるいけど、写真と違って、アートはより製作者の意図が反映されるもの、その対象であり、製作者であることが、アートだと僕は思っていたんだと気づきました。
あとは、そう感じてもらえるように表現力を磨いていく事・・・その先に動物達への理解があると信じています。

■岩合さんは猫の写真でも有名で・・・というか、そっちの方が有名なのかな・・・。
猫の写真は沢山の方が興味を持ってくれるのに、野生動物の写真は猫ほどの反響がないようで・・・その事を少し嘆いていました。
僕もその事はとても悲しい・・・。岩合さんほどの人が野生動物の素晴らしさを伝えても、動物への理解はなかなか進まないようで・・・ 写真でもアートでも、野生動物の姿をより多くの方に多くの方法で伝えていかないとなぁ・・・と、そう強く思った本でした。

なので、皆さんにもぜひ読んで欲しい本なのです。
岩合さんの経験と共に、現地の匂い・動物達のいる風景を感じて欲しいです。